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MY BILDREPORT

ツィンメリットコーティング考

ブログが復活したのもつかの間・・・
長らく投稿していなかったので以前のペースに中々戻せないですねぇ。
しかしながら復活したら日に日に閲覧数が増えている!宣伝してないのになんでだろ〜ぉ。。。

さて、エレファント、さっくり組んでます。と言っても以前、ヤクトタイガーもさっくり・・・
と言いつつ1年近く引っ張るという。。。
いやいや、もはやそんな根気は無いです・・・おまけに連日のこの暑さ。。。
と、言いつつ改修後のエレファントにはコーティングは必須なのでその「傾向と対策」でも書くとすっか。

第二時世界大戦でドイツ軍が開発した吸着地雷を敵国も使用すると想定、その吸着を阻止する為の
措置として非磁性体のペーストが塗布された・・・
ドイツ戦車モデラー、得に初心者にとっては正に鬼門となるお馴染みのコーティング。
しかしながら現在でもなお塗布後、塗装前の写真は現存しているが作業員がどの様な工具でキザミを入れていたかは不明だ。

ドイツ戦車の大家、ヴァルター・J・シュピールベルガーはその著書「突撃砲」で
"パテナイフで細い溝を作る。すなわち、極狭い間隔でナイフを押し付けていき、ギザギザに波打った塗布面を作る"
と、ヘラによってキザミを入れていくと図版入りで解説している。

まぁ、模型では実物がどの様な工具で行っていたは関係なく、いかに実物の様にリアルに再現できるか、だろうか。
もっともコーティングのような人為的な作業は実物同様にやればリアルにはなるだろうとは想像できるが。

で、模型のコーティングの歴史。
70年代、タミヤニュースでラッカーパテを塗布後、-ドライバー等の道具でキザミを入れていく方法が発表されて
そのやり方がセオリーだった時代が長い(私もその1人)。
しかし、80年代シェパード・ペイン氏がその著書でレザーソウ(ノコギリ)をスライドさせる方法や
ローラーでパターンを入れる方法を解説していた。が、実際の作品ではドライバーでキザミを入れていたようだが。

90年代になってトニー・グリーンランド氏がノコギリ状の板(本人談では靴修理用のヘラ)で、エポキシパテを用い
ヘラをスライドさせる方法を実践、この方法はドライバー方よりも見た目が綺麗で、その後コーティングブレードなる
専用の工具まで発売されて、長らくこのやり方が一般的になったのは周知。

そして2000年代、アーマーモデリング誌で平田光夫氏がローラー&スタンプ方を論理的に解説、専用工具まで発売して
現在に到る、って歴史だ。
あっ、ショーモデリングからエンボス加工された紙製のシートや
海外のサードパーティからレジン製の薄いシートが発売されていた。

でも、実際のコーティングをどういった工具で行っていたのか?を想像するのも楽しいところ。
で、気になる解説があった。グランドパワー別冊ティーガー(2)2007年だ。
その中で↓の写真解説(写真は海外サイトの拾いだけど"議論だけのために"ってあるけど議論だからいいか)
で要約すると、「最近、模型ではコーティングのキザミをローラーを用いる説が出ているが、実車の場合は無理がある。
戦車の装備品固定具が付いた状態ではローラーがかけられない部分が出てくるのは明らか。この写真を見るとパターンの幅にかなりばらつきがあり、しかも途中で幅が変更されている部分も多くこれを見てローラーで
パターンを入れていたと言えるだろうか。やはり数人の工員の手により刻み目が掘り込馬れたと考えるのが
極めて妥当と思われる」と解説されているのだ。
ツィンメリットコーティング考_e0135107_12463424.jpg

う〜ん、写真の観方、って人によって主観が違うから何とも言えないが・・・
かりにも戦車の専門誌がこうも断言していいのだろうか?これ、どう観てもローラーで付けたパターンでしょ。
写真大○、途中で極端に斜にしかも直線にパターンがそれている所、人の手だったらキザミが曲ったら
補正しようとしないか?写真小○ローラーパターンが重なりあう個所の独特の形状が見てとれる。
解説で "途中で幅が変わる"とあるが横の幅が変わるのは規則正しく整列してパターンを入れていたのではなく
適当に重ななったりした為だともいえる。縦の幅が違うのは、ローラーだと力の入れ加減で幅が違ってくる。
ここらあたりは模型で実際に行うとより判る。
ただ、装備品固定具がじゃま、っていうのはあると思う。まぁ、ローラーが入らない所は手で刻みを入れていたのかな?

まぁ、私も以前は手動によって刻みを入れていた、を信じて疑わなかったんだけど
工員の立場になって考えると一刻みづつ刻んでいた、なんてのは考えにくく
またこうして写真を見るとローラー肯定派にならざるを得ないと言うか。ただ統べてのコーティング、3号突撃砲の
ワッフル、ヤクトパンサーの格子状、パンサーの粗いパターンなどはまた考察しなければならないだろうか。

じゃあ具体的にどんな道具?
これは現在の壁補修のローラーみたいな物以外に考えられない。
模型用のローラーは円の直径が大きく、あれを35倍にしたらとんでもないので一般的な直径6㎝位だっただろうか。
それ位の直径だったら装備品固定具があってもだいたいの個所はパターンを入れられてのではないだろうか。
ツィンメリットコーティング考_e0135107_13355427.jpg

画を描いてみたが、ローラーの刻みはもっと粗いかも。
ローラー素材は平田氏は「スポンジみたいな物」と想像していたけど
もっと硬いゴム状の物だったのでは?と想像した。
ツィンメリットコーティング考_e0135107_141182.jpg

イギリスのシェリンバンハムにあるRMCSコレクションとして保存されるキングタイガーは
ほとんど無傷で捕獲され保存されている。なかでも、ここまで剥離がなく当時のコーティングが残っているのは
ホント素晴らしい(一部補修された様)。
コーティングパターンは一見雑な様に観えるが規則的な法則があり美しくもある。
by dickermax | 2012-07-29 01:13 | コーティング考察